「パラトグラム」とは、聞きなれない言葉ですが、
発音した時に、「舌が口蓋に当たるときの接触部位」を示す図で、口蓋図ともいわれます。
発音した音によってそれぞれ、舌が口蓋につく所は変わってくるので、
「ラ」と発音した時には、「ラ」の形、
「タ」と発音した時には、「タ」の形、に、
「舌が口蓋に接触した部位の形」(パラトグラム)は、変わってくるのですが、
そうして、舌が口蓋に接触し、いろいろな音を出す。
それが、きれいな発音につながる一つの要素、ということだと思います。
さて、これ、昔は、
『口蓋に「粉末」をつけて、
そこに濡れた舌が当たると、
当たった部分の粉末の色が変わる』
その形を、見て、「タ」はこの部分が、舌が口蓋に当たっているのだ、
などと観察したのですが、
(もう少し詳しく書くと、「上顎の口蓋を覆う入れ歯のようなモノ」の、口蓋部分に、薄くワセリンを塗り、
(実際には、この装置を使ったのではなく、「口蓋を覆うもの」のイメージ写真)
そのワセリンの上に、濡れたら色の変わるような粉末を振りかけておいて、
口の中にセットし、
「タ」と一回発音すると、
舌が接した部位の粉末だけが唾液でぬれて色が変わり、
パラトグラムの形が分かる。
それを絵にかいたり、写真を撮って記録する。)
現在は、そのような古典的な方法をしなくても、
『数十個の電極を埋めた動的人工口蓋をコンピュータと連動させて用いることにより,舌の動きの時間変化も調べることができる』そうです。
(ブリタニカ国際大百科事典より)
(時代は、変わりました。(笑))
さて、そんなわけで、今は、
取りつけた電極をコンピューターで読み取ることにより簡単に分かるようになったわけですが、
昔は面倒くさい手間をかけてまで調べた「舌の動き」。
(発音するときに、口蓋のどの位置が、舌と接触するか?)
発音が聞き取りづらい、という方には、
この舌の動き方が小さく、明瞭には話せていない、という方がいらっしゃるように思います。
この、「舌の動きの小ささ」は、「(舌が)高く上がっていない」という動きの小ささがあり、
明瞭に発音するためには、舌が上あご(口蓋)につくことをイメージするぐらい高く上げるということを意識して発音することで、
舌の動きを大きくし、より分かりやすくハッキリと発音できるようになることもあります。
発音、構音を良くしよう、とか、活舌をよくして、明瞭に聞こえるようにしようと思った時、
「あ、い、う、え、お」と、まず口を大きく開ける、
というところから始めるイメージも多いのですが、
エクササイズとして、大きく動かして下の可動範囲を広げ、
実際に話す時には、口を開ける大きさというよりも、逆に口の中での下の動きを大きくすることを意識してみるのもいいかもしれません。
上あご(口蓋)に舌を接触させる、
自分が話す時、舌がどれだけ高く上がっているか?
ということを意識している人は、少ないと思いますが、
実は舌のホームポジション(常にある位置)は、
舌先が「下の前歯の裏側」についている位置、ではなく、
舌先が、「口蓋(上の前歯の裏側の少し後ろ)」についている状態、位置が正解だそうです。
もし普段、舌が口蓋についていない、
舌の先の位置が、いつも下の歯の裏側にある、
という方で、発音が明瞭ではないと悩んでいるなら、
普段から舌先がどこに接触しているかを意識し、
舌のホームポジションの位置が違っているなら、正しい位置(舌先が、口蓋(上の前歯の裏側の少し後ろ)についている位置)に置くようにして過ごすと同時に、
舌を口蓋に当てるイメージで、上あご(口蓋)に接触させるように、上に持ち上げるように動かすことを意識してみるのもいいと思います。